20080128

SIADH

低Naに続き、ついでにSIADHについてもまとめておこう。



SIADH syndrome of inappropriate secretion of ADH 


ADH不適合分泌症候群


血漿浸透圧は、ADH(バゾプレッシン)によって一定に保たれているが、ADH分泌が過剰となると、抗利尿作用の結果として体内水分の貯留亢進が起こる(逆にADHが不足すると尿崩症が生じる)。


<診断基準>
脱水所見を認めない(血漿レニン活性<5ng/ml/hr、血清 尿酸値<5mg/dl)
低Na血症 : 血清Na<135meq/l
低浸透圧血症 : 血漿浸透圧<270mosm/kg
低張尿を認めない : 尿浸透圧>血漿浸透圧
Na利尿の持続 : 尿中Na濃度>20mEq/L
腎機能正常 : 血清Cr<>
⑦副腎皮質機能正常 : 血清コルチゾール>6μg/dL
血漿AVP(ADH)濃度上昇 : ただし血清Naとの相関で評価することが必要
水分制限により低Na血症が改善する

通常、低ナトリウム血症で発見される。
強度の水分摂取による強度の低ナトリウム血症では水中毒症状と呼ばれる。


<原因>
①異所性ADH産生腫瘍(肺小細胞癌)
②中枢神経系疾患
③肺疾患
④薬剤性(抗癌剤、抗うつ剤など)

肺炎や髄膜炎等感染症に伴うものが多い


<治療>
①意識障害を伴わない場合
 ・水制限食事中の水分を含めて15~20mL/kg/day)
 ・フロセミド(利尿薬)+食塩摂取制限(1日10g)
 ・デメクロサイクリン(レダマイシン)600~1200mg/day(保険適応外)
 
②意識障害を伴う場合
 ・高張食塩水(2.5~3%NaCl)投与
   補正速度を0.5~1mEq/L/hr未満かつ10mEq/L/day未満に保つ
   症状の軽快、あるいは125mEq/Lを到達目標にする
  ※補正が早すぎると脳に不可逆的な脱髄(橋中心髄鞘崩壊)を生じ、致命的あるいは重篤な後遺症を残す



低ナトリウム血症

今週は日勤リーダーです・・・。朝が辛い。
さっそく今日気になったこと。
尿量低下、血圧低下があるけど、脱水・浮腫の所見のない患者。
腎機能は問題ない。肝機能はもともと悪いが、アルブミンはそこまで低下していない。
in/outは連日1000以上in over。体重も連日プラス1kg。
Na 115。間違いなく低Na。
けど、いまいち病態が分からん。脱水でも浮腫があるわけでもないのに、どういうこと?

ってことで、記念すべき第1回は"低ナトリウム血症"。


低ナトリウム血症


血清Na濃度が135mgEq/L未満


低Na血症は脳浮腫の原因となる為、低下速度にもよるが、一般に血清Na濃度が125mEq/L以下になると、頭痛、吐き気などの神経症状が出現し、さらに進むと痙攣、昏睡などに至る場合もある。


低Na血症とは体内Na量が細胞外液量に対して相対的に少ない状態で、以下の3つのパターンが考えらる。

①細胞外液量減少=脱水体内総Na量↓↓体内総水分量↓=水分とNa喪失)
 ・尿中Na濃度20mEq/L↓
  <原因>腎外性のNa漏出(Na摂取不足、下痢、嘔吐、火傷)
 
 ・尿中Na濃度20mEq/L↑
  <原因>腎性Na喪失利尿薬、ミネラルコルチコイド欠乏
 
 ※治療:水分とNaを補う(生理食塩水

②細胞外液量増加=浮腫体内総Na量↑体内総水分量↑↑=水分とNa貯留)
 ・尿中Na濃度20mEq/L↓
  <原因>心不全肝硬変、ネフローゼ症候群
 
 ・尿中Na濃度20mEq/L↑
  <原因>急性腎不全、慢性腎不全
 
 ※治療:原疾患の治療

細胞外液量ほぼ正常体内総Na量→体内総水分量↑=水分貯留)
 ・尿中Na濃度20mEq/L↑
  <原因>SIADH、ミネラルコルチコイド反応性低Na血症、中枢性塩類喪失症候群、グルココルチコイド欠乏



ってことは、この患者の低Naの原因、SIADH説浮上!?



Powered By Blogger